学生演劇応援団

「THEATRE E9 KYOTO」舞台芸術の灯火を次世代へ 文化芸術都市・京都、演劇のこれまでとこれから【その2】

舞台芸術の分野で新しい挑戦を続ける「THEATRE E9 KYOTO」は、京都の小劇場が相次いで閉鎖した2017年に建設プロジェクトが始まった。建設資金を募るクラウドファンディング(CF)に世代を超えた支援が集まり、舞台芸術を愛する不屈の情熱は京都・東九条から全国へと広がった。その裏で、プロジェクトは幾度も困難に直面する。実現に向け奔走した芸術監督のあごうさとしさん、テクニカルスタッフの北方こだちさんが明かす、挑戦の舞台裏とはー。
(前回の記事「THEATRE E9 KYOTO」舞台芸術の灯火を次世代へ 文化芸術都市・京都、演劇のこれまでとこれから【その1】

−−2017年6月26日に、「THEATRE E9 KYOTO」の建設プロジェクトが発表されました。芸術関係者や市民ら約80人のメンバーで組織する「アーツシード京都」が、クラウドファンディング(CF)を活用して京都に新しい劇場を作るという計画です。メンバー最年少のあごうさんが代表理事に就かれ、ここから挑戦が始まったんですね。

あごう:新しい劇場を作るために、まずは候補となる物件探しから始めました。スペースの広さなど劇場としての要件、特に天井高は通常のオフィスビルの2階分くらいの空間が必要で、なかなか合致する物件が見つからなかった。1年ほど探し回った2016年夏に、元々は企業の倉庫だった場所を紹介され、「もう、ここしかない」と即決しました。そこから、私たちの「THEATRE E9 KYOTO」建設プロジェクトが動き出しました。土地と建物は持ち主である不動産会社から借り、リノベーション資金を自分たちで集めて、新しい劇場を作ろうと計画しました。
今、「THEATRE E9 KYOTO」があるこの場所は当時、「第1種住居地域」に定められていて、そのままでは不特定多数が集う劇場は建設できなかった。まずは行政に申請して、劇場の建設計画を「特例」として認めてもらわなければなりませんでした。申請にあたって、設計士を含めた専門チームで建物の現況調査を徹底的に行う必要があり、そのために約1200万円の費用がかかる。なので、一番初めのCFでは、まず現況調査と申請に必要な書類作成のための費用を募ることにしました。

−−現況調査にかかる費用だけでも多額です。計画の最初から、現実的な課題にぶつかったのですね。

あごう:CFでお金が集まれば、世間の皆さんから「劇場が必要だ」と、私たちの計画を支持してもらえたということです。逆に、もし資金が集まらなかったら「劇場は不要だ」ということになります。CFは単にお金を集めるというだけでなく、「舞台芸術という文化を支える劇場が必要かどうか、社会に対して問いかける」という思いがありました…【続きはこちらから】


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