<出会う>京都のひと

「自分とお客様は同じ感覚で、食べて安全なものを提供したいんです」

玄米ご飯のヘルシー弁当専門店&カフェ。

カーキーバンブー 代表 和田やよ泉

■「龍の道」の北山で一休みできる場所

和田やよ泉さんは元デザイナーだ。すべては、勤めていたデザイン事務所の社長との雑談から始まった。

「会社では毎週のように手料理で宴会をしていたんです。音楽を奏でたり、お酒を飲んだり。そこで話すうちに、社長と『食べることは生活の基本。楽しく生きていくには飲食だな』と。その夢をかたちにしたのが、カーキーバンブーです」

カフェスペースはワンドリンクオーダーでお弁当のイートインが可能に。

■対面だからこその気遣い、元気をくれるお弁当

1993年に量り売りのクッキーショップとレストラン「カーキーバンブー」を北山通の一角でオープン。時はバブル全盛期。北山通りにはブランドのアパレルショップが立ち並んだ時代だ。

デザイナーにも関わらず、レストラン部門を任された和田さん。調理経験はなく、プロ顔負けの料理スキルを持つ社長のもと、料理を覚えた。

北山通でカーキーバンブーは連日、多くの人でにぎわった。無漂白の小麦粉を使った自家製クッキーはデパートからの引き合いも多かった。玄米食を提供する、自然派レストランのはしりだった。

和洋、様々な味わいを揃えるお弁当は日替わりをはじめ、会議弁当、行楽弁当など様々。場合によっては配達も可能。アレルギーにも対応してくれる。

10年ほど前、現在の場所に移転したのを機に、お弁当屋さんに路線変更、その理由は「お店がせまくなったから」。でも自然派路線は変わらない。お米は長野特定地域のコシヒカリ、野菜は上賀茂産を中心に。

「自分とお客様が同じ感覚で。私たちが食べて安全なものを提供したいんです。クッキーもそう。だから、手作りできるものはなんでも作るのが方針です」。

おかずも脇役の漬け物も基本、全部作る。塩麹ももちろん自家製だ。昨年10月に値上げしても、お弁当は1つ630円。おいしく食べて健康になって欲しい。これこそ本当の 「愛情弁当」だ。

手作りクッキーは粉の風味を生かした素朴な味わい。

■龍に守られた土地で元気になるお弁当を

お弁当は定番メニューに日替わりが加わり、毎日多くの常連客が訪れる。印象的だったエピソードがある。

「気持ちが沈んでいた常連のヨガの先生が、ある日、うちのお弁当を買いにいらしたんです。でも、その日の分はすで売り切れでした。ただ、先生の様子がいつもとちょっと違うので『からあげならできますよ』と特別にお作りしたんです。そしたら後日『ここのお弁当を食べたら元気になって、気が上がりました』と。すごく嬉しかったですね」。

ちなみに、青(るり色)と緑(ひわ色)という店のテーマカラーの由来は風水にあるという。和田さんによると、北山は貴船から南へ下る「龍の道」が走るエリアだそうだ。青は青龍の青。緑は龍が休む場所が竹林であることから。

「龍の名前がカーキーなんです。バンブーは竹林、それが店名の由来です。ここは龍に守られているからって、名付け親の社長は言うんです(笑)」。

食べると元気に。確かに、ここのお弁当には不思議な力が宿っているのかも。

(2020年1月10日発行ハンケイ500m vol.53掲載)

お弁当屋を中心に左側がカフェ、そ して右側にはギャラリーも。

カーキーバンブー
京都市北区上賀茂池端町9

▽TEL:0757248901

▽営業時間:11時~17時(売り切れ次第終了) 、カフェ11時半~14時

▽定休:土、日、祝