<出会う>京都のひと

「バンドをやる、ということの 最大の魅力は個人を超えられること」

3人のバンド仲間が営むライブハウス「外」

野口順哉(左)山田英晶(中央)、古谷野慶輔(右)

■練習と本番を同じ場所でやる豊かさ

東京で結成されたバンド「空間現代」の3人が、錦林車庫の目の前にあるライブハウス「外」の運営者だ。ギターヴォーカルの野口順哉さんが大学でバンドを結成するにあたり、声をかけたのが高校の後輩であるドラムの山田英晶さんとベースの古谷野慶輔さんだ。
3人を代表して野口さんが、東京のバンドが京都でライブハウスを始めるまでの、一風変わった経緯を教えてくれた。

ライブの様子。「音楽活動以外の『外』の役割分担としては、企画デザインは古谷野、運営は山田、そして僕はご近所担当です」と野口さん。

■東京から京都に拠点を移した、その理由

当初は歌モノのパンクバンドだったが、批評家の佐々木敦さんと知り合い、電子音楽などの前衛的な音楽を聞くようになった3人。例えばレコードの針が飛ぶような音をあえてバンド形式で演奏するという実験を始めとし、次第に楽器ごとの特性や魅力を抑制するスタイルで作曲するようになった。セカンドアルバムでは、ギターやベースの弦楽器としての特性を一度忘れ、3人の楽器すべてをドラムのようなリズム楽器のつもりで演奏する試みに挑戦している。

左京区の劇団「地点」との共演が転機となった。「地点」は自身の劇場で稽古をし、公演も行うスタイルだ。「劇団を会社組織にして、アトリエを持ち、そこで公演も行う。そんな『地点』の在り方に衝撃を受けました。練習と本番を同じ場所でやるというのは、豊かだなと思ったんです」。

自分たちも拠点を持ちたいと思ったけれど、東京だと予算的な問題があった。3人で話し合いを重ね、導き出されたのが京都に拠点を移すという答えだった。

2016年4月に法人になり、同年9月にライブハウス「外」をオープン。「『地点』のアトリエが近かったのと、物件のサイズ感、立地でここに決めました。今はもうLEDになってしまったけれど、以前のナトリウム灯に照らされた夜の錦林車庫の景色も決め手の1つ」。

ライブハウス内部は絶妙なサイズ感。秋には松下敦 (ZAZEN BOYS / Buffalo Daughter)×山本精一×UCON×家口成樹のライブなどが控える。スケジュールは外のホー ムページ(http://soto-kyoto.jp/)で随時配信。

■「空間現代」と「外」は3人じゃないとできない

3人は頻繁に話し合う。目下の課題は効率化との向き合い方。

「『空間現代』の音楽作りと『外』のイベント企画、どっちも妥協できない。わざわざ3人で話し合ったりせず、タテ割りの組織にしてそれぞれの判断で先に進めていったほうが効率は上がるかもしれない。でも本気で効率を追求するなら、バンド活動そのものが効率の悪いもの。だから(バンドを)やめればよいということになってしまう。今もなお、いい音楽を生み出していくためのベストな在り方を探っている最中です」。

現状を「綱渡り状態」と表現する野口さん。「綱」とは、「自分たちが新しい音楽を作る」という想いだ。

「3人でわーわーして『空間現代』の音楽はでき上がる。どんなに効率が悪くても、チームで作る。バンドをやる、ということの最大の魅力は個人を超えられることだと思っています」。

(2019年9月10日発行ハンケイ500mvol.51掲載)

「外」という屋号は楽曲名から取ったもの。「京都で外、つまり『よそ者』でいることは悪くはないと思っていて。いい意味での距離感を大切にしたい」。

京都市左京区鹿ケ谷法然院西町18

▽TEL:09078750018

▽外HP⇒http://soto-kyoto.jp