TOWA presents 岡田博和ものがたり

vol.09 啐啄の機、さらなる頂へ。

仰ぎ見た山の峰に、白雲が流れていく。頂に近づけば近づくほど、やがて道は険しく、山は厳しい相貌を見せる。そこには、登り来た者だけが目にする景色があり、登り来る者にのみ与えられる試練がある。
TOWA株式会社の社長に就任した岡田博和にとって、企業経営はまさしく未踏峰の山の頂を目指すチャレンジそのものだった。社長就任から2年後の2014年4月、岡田は、24年の売上高500億円を目標に掲げた「TOWA10年ビジョン」を発表する。当時の売上高は171億円。岡田が目標とした500億円は、半導体のモールディング工程の市場規模に匹敵する桁違いの金額だった。

当初は社内でも、500億円という目標に疑問の声が上がったという。岡田は「こちらの思いがぶれては、誰もついて来てくれない。絶えず目標を発信し続けて1年、2年と経つうち、段々と社内の空気が変わっていきました」と振り返る。
まだ世の中にない製品を、独自の技術で生み出していく。日々、新たなものづくりを目指す挑戦の志こそ、創業以来TOWAの成長を支え続けるDNAであり、原点と言える。創業者である坂東和彦がTOWAのものづくりに込めた「クォーター・リード」の哲学を、次の世代へつなぐこと。そのための基盤として打ち出したのが「TOWA10年ビジョン」だった。

グローバルに広がる半導体産業は、世界的な政治情勢や景気によって刻々と状況が移り変わる。営業や製造の現場で、そして経営者として、岡田は常に「TOWAにとってのベストは何か」を考え続けてきた。将来のあるべき姿を思い描き、そこに向けて社員一丸となって着実に歩み続ける。その直向きな一歩一歩が、まだ見ぬ頂へと続く道になると信じて。
「目標とは、成し遂げるためにある」。リーダーとしての岡田の断固たる思いが、社員をひとつにした。2022年3月、TOWAは連結決算で過去最高となる売上高506億6600万円を計上する。主力である半導体事業の生産体制強化、総合的に顧客の要望を実現するTSS(トータル・ソリューション・サービス)事業の展開、積極的なM&Aによる新規ビジネスが実を結び、「TOWA10年ビジョン」で掲げた目標を2年前倒しで達成したのだ。

岡田は「ものづくりメーカーとして付加価値の高い製品を作り上げる技術は、これからも継続して高めていかなければなりません。さらにプラスアルファ、その先のビジネスをマッチングできる環境を創出していくこと。それが、私に課せられた大きな仕事だと思います」と語る。
父と慕い、師と仰いだ坂東和彦との出会いから44年。「超精密金型」と「半導体製造装置」の製造販売から始まったTOWAの歴史は、岡田が人生を賭して歩んできた道と言える。そこには常に、原点である「ものづくり」への思いがあった。
「これまでの10年は『ものづくりの真価に挑む』という思いで、TOWAの本質を見極めることに注力してきました。これから次の10年は『変革で世界の頂へ』をテーマに挑戦したい。失敗やトラブルを恐れることなく、グループ一丸で、ものづくりの新たな価値を創出することに挑みたいと考えています」。
創業者・坂東和彦より受け継いできたTOWAの「ものづくり」に宿る精神。その伝統を守りながら、次の頂を目指して新たな一歩を踏み出す。時は今、啐啄 (そったく)の機にある。


sponsored by TOWA株式会社