TOWA presents 岡田博和ものがたり

vol.03 未踏のフロンティア、世界への挑戦。

「産業の米」と呼ばれた半導体の需要が急拡大する1980年代。TOWAは持ち前の技術力を活かし、「半導体製造装置」という新たな領域へ踏み出す。コンピューター、電卓、ゲーム機と、人々の生活を変える電子機器が次々と生まれていた。それは同時に、半導体の需要が世界規模で膨み続けていることを意味していた。より安定的に、さらに効率的に半導体を製造するための技術を、世界中が求めていた。
日本国内に留まらず、広く海外市場を見据えたTOWAの挑戦。岡田博和は「海外の大企業が相手であっても、何ら臆することはない。世界に向けて対等に、自分たちの技術を発信していくんだ、という強い思いがありました」と振り返る。

それまでの半導体の製造方法は、少なくない割合で不良品が混じることがあった。型に樹脂を流し込んで半導体素子を封止する工程で、作業の精度にばらつきが生じていたのだ。米国のテキサス・インスツルメンツ、モトローラをはじめ、当時の主要な半導体製造企業にとって、不良品の発生を抑えて品質を向上させることは最重要課題と言えた。
半導体業界が抱える課題を解決すべく、TOWAが世に送り出したのが「マルチプランジャ方式」という新たな製造方法だ。従来1ヵ所の樹脂注入で数百個の製品を取っていたものを、製品の近くでマルチに樹脂注入をすることで、より精密に、しかも自動で型へと流し込むことを可能にする。樹脂の無駄を省き、さらに高品質な半導体製造を可能とする画期的なアイデアだった。
革命的とも言える「マルチプランジャ方式」を用いたTOWAの装置は、米国の名だたる半導体製造企業に続々と採用されることとなった。TOWAの技術力は確かな評価を獲得し、その名が広く半導体業界に知られるようになっていく。
営業担当として米国をはじめ世界の企業と渡り合ってきた岡田博和は「お客様とのやりとりを通して、私自身が成長させていただけたという思いが大変強い」と振り返る。
「お客様との会話の中で、自分が何を感じ取れるか。何気ない一言から、自分たちはどうあるべきか、TOWAとしてどうするべきかという最善の一手を探る。その積み重ねが信頼関係を育み、お客様にとっての特別な付加価値を提供できる強みへと、つながっていくのです」。

「TOWAにとってのベストを突き詰める」。当時も今も変わらず、岡田が最も大切にしている自身の判断の軸だ。「ものづくり企業」として、TOWAが提供できる「独自の価値」とは何か。世界の顧客を相手に、岡田は全身全霊の洞察力を持ってコミュニケーションを重ね続けた。
「原点となるのは自社の技術力。その上で、今の時代のお客様が求めている感覚や、他社との差別化などを総合的に考えた結果として、自分たちの付加価値が生まれてくる。昨日までは100だったかもしれないけれども、今日は95かもわからないし、ひょっとしたら100以上かもしれない。ものの値打ちは、時代や環境によって変わるものです」。
コンピューター産業の発展とともに、半導体業界を取り巻く状況は加速度的に変化していく。1990年代に入ると、韓国や台湾の企業が勃興期を迎える。市場の多様化は即ち、ニーズの多様化でもあった。「常に時代の先を見つめて、果敢に挑戦すること」。フロンティア精神にも似たしなやかな進取の気性が、TOWAの更なる革新へとつながっていく。


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