きょうの挑戦者たち

コーヒーかす再利用プロジェクトで幸せの循環を生み出し、ごみ減量に多くの人が参加する未来を目指す。

■ゲーリー・ブルームさん

1966年米国生まれ。大学卒業後に来日。98年より英語講師として京都に本格的に移住。環境問題に関心があり、京都への「恩返し」の気持ちも込めて、2020年5月、順子さんとmame-ecoプロジェクトを立ち上げる。

■ブルーム順子さん

1975年東京生まれ。専門学校卒業後、16年間、海外でホスピタリティに関連した仕事に携わる。滞在したのは米国、サイパン、スイス、フィジー、モルジブ、タイなど。37歳でゲーリーさんと出会い、京都に移住。

mame-ecoのホームページはこちら(外部リンク)→https://mame-eco.org/ja/

コーヒー消費量全国1位※を誇る京都でコーヒーかす再生プロジェクトmame-ecoに取り組む夫婦がいる。米国人ゲーリー・ブルームさんと順子さんだ。

京都在住23年、ロス出身のゲーリーさんは、長年住む京都の環境に貢献したい、という思いがあった。日本で先駆けての京都市による使用済み天ぷら油を回収し車の燃料にする取り組みを知り、コーヒーを愛飲するゲーリーさんは「天ぷら油が集められるなら」と、コーヒーかすを肥料にしてごみ減量を実現するこのプロジェクトを思いついた。

コーヒーかすは腐葉土やもみ殻と混ぜて発酵させると優れた肥料となる。フィルターも資源として活用される。

夫婦は、フィルターごとコーヒーかすを回収、分別する手間は自分たちが請け負う。なぜなら、未来に活動をつなげていくために、より多くの人に気軽に参加してほしいからだ。

夫婦の情熱に触れ、協力者は増えた。約50軒のカフェやホテルを自転車でまわり、現在は月に1トン以上を回収する。

ゲーリーさんと順子さんが最もやりがいを感じるのは、mame-ecoで新しいつながりが生まれたときだ。カフェはごみが減り、農家さんは良質な肥料が手に入る。その肥料で実った野菜で、カフェがサンドイッチを作る。お客さんも、おいしい野菜が食べられる。mame-ecoはそんな「幸せの循環」を生み出すのだ。

毎月の回収量を参加者に報告したり、コーヒーかすの引き取りにお金がかからなかったり。参加のハードルを下げ、続けたくなる工夫を夫婦は惜しまない。「Make it easy! まずは始めるのが大事。より多くの人に関わってほしいですね」(撮影協力:cafe 風良都)

「京都は観光地としての知名度に加えて、京都議定書でも世界的に有名です。適度な大きさで、人と人とがつながりやすい良さがある。ここ京都から、世界に情報発信していきたい」。

コーヒーかすで人をつなぐ環境活動。夫婦の挑戦は続く。

※京都市の2人以上世帯のコーヒー消費量は全国1位(2018年-2020年の平均量。総務省統計局家計調査より)

(2021年11月12日発行ハンケイ500m vol.64掲載)

<共同編集長コラム>
地球温暖化の原因となる温室効果ガス。その排出量削減を数値目標として定めた「京都議定書」は、1997年に採択されました。気候変動をめぐる動きはその後、世界的に加速し、地球環境に強い危機感を抱く若い世代の活動も広がってきています。コーヒーかすの回収に夫婦で取り組むゲーリー・ブルームさんと順子さん。「バタフライ効果」という言葉があるように、小さな「蝶の羽ばたき」でも、地球規模で考えると大きな環境変化につながっています。2人が挑戦するmame-ecoの活動も、未来の地球を守る「蝶の羽ばたき」かもしれません。(龍太郎)

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私も挑戦者です

コーヒーかす再利用プロジェクトで幸せの循環を生み出し、ごみ減量に多くの人が参加する未来を目指すブルームさん夫妻と同様に、三洋化成は化学のちからで人やものをつなぎ、より良い未来づくりに挑戦しています。

三洋化成工業株式会社

京都市東山区一橋野本町11-1