Touch the ART! (for children)

「こうして、ああして」と考えないで、偶然を楽しむ。アートの世界へ踏み出す、第一歩は「自分自身の『いいな』」“Towns”へ出かけよう!

Touch the ART! (for children) vol.1
美術家・杉山知子さん

新しいアートを創り出し、直に触れてもらうことを目的とするTouch the ART! (for children)は、一般財団法人ニッシャ印刷文化振興財団が支援し、日本写真印刷コミュニケーションズ株式会社が展開するプロジェクト。第1回目となる今回は、現代美術作家の杉山知子さんとのコラボレーションです。
杉山さんの世界を展開した大きなサイズの本「Towns」を制作する「Walk to “WORK”」と、「Towns」の世界に直接触れて、感じることで、創作する力を喚起するイベント「open Tomo's」を開催します。

社会と芸術をつなぐ神戸市のNPO法人「C.A.P(芸術と計画会議)」設立者である杉山知子さん。アーティストとして40年以上にわたり作品制作を続けている杉山さんは「偶然が一番面白い。いかに偶然を取り入れるかが、私にとってのアートです」と語る。

予定調和ではなく、偶然から始まる変化にこそ、アートの面白さが詰まっている。そう考える杉山さんの哲学は、出来上がった作品だけでなく、制作するプロセスにも反映されている。セオリーに従って一方通行に完成へと進むのではなく、時には「壊す」という行為も重要な要素となる。
『壺』というタイトルの一連の作品では、描き上げた壺の絵をハサミで切り刻むところから本当の制作が始まる。バラバラになった壺のかけらに番号を振り分けて、展覧会を訪れた人にプレゼントする。壺のピースを受け取った人は代わりに、「自分の描きたいもの」を壺のかけらが本来あった場所に描く、というものだ。

「壺をあげるから中身をください」をテーマとして制作されたこれらの作品では、顔、太陽、何かの文字など、多種多様な「壺の中身」が集まり、一枚の絵画として再生した。かけらを受け取った人たちそれぞれの「描きたい」思いをつなぎ合わせることで、一度は壊れた壺が再びアートして蘇る。「見る人」と「作る人」という固定された関係ではなく、かけらの交換を通したコミュニケーションによって完成する作品となった。

「人から言われて見るんじゃなくて、自分の目で、自分で見つける。アートの面白さは、そこから始まると思います。そのためには私たちアーティストが、アートの扉を開放することが必要です」。限られた人のものではなく、もっとアートを身近なものへ。杉山さんが中心となって1994年に設立した「C.A.P(芸術と計画会議)」は、多くの人たちとの出会いを大切に、アートの扉を開き続けている。

杉山さんの母校である京都市立芸術大学の卒業生を中心に、現代美術作家が集まってスタートした「C.A.P」は現在、様々なアーティストがスタジオでの制作活動を公開するアートプロジェクト「KOBE STUDIO Y3」を運営している。アーティストが作品制作のプロセスを一般公開するというこの取り組みは、アーティストと市民をつなげ、誰もが芸術に触れる場として機能している。

スタジオの扉を開けているから、いつ、誰が見に入ってきてもいい。開放された場所だからこその偶然の出会いを、スタジオに入居するアーティストも楽しみ、日々刺激を受けながら制作に励んでいる。
自分と異なる他者との出会い。その驚きと発見を、アーティストは作品という形で表現する。杉山さんは「身近なことや、世の中を動かす大きなことが入り混じって、作品のアイデアが出てきます。『こうして、ああして』と完成を考えないで、偶然を楽しむと、出来上がった作品から、自分が考えていることが見えてきます」と話す。

杉山さんは今、旧居留地にある自身のアトリエ「Tomo's」で、『壺』と同じく「壊す」という要素を取り入れた連作『Towns(タウンズ)』の制作を進めている。描き上げた一枚の絵をハサミで切り刻むことでピースに仕立て、それらを組み合わせて再び新しい絵を生み出す。
「パズルで遊ぶような感覚で」杉山さんが配置するピースは、色合いや形もさまざまに異なりながら、一つの絵を構成している。それはまるで、大小の家や建物が混在して一つの「街」が作られているように、それぞれのピースがそこに住む人々の暮らしを物語っているようにも感じられる。

「現代アートはよく分からないことが多いかもしれないけれど、まずは『自分の好き嫌い』から始めてみて」。最初は親しみにくい現代アートも、自分が『いいな』と思えた部分から作品を読み解いていけば、それまで知らなかった発見が生まれていくのだそう。
アートの入り口は、思いもかけず身近なところであなたを待っている。自分自身の『いいな』という直観こそ、アートの世界へ踏み出す第一歩なのだ。

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Touch the ART! (for children) Vol.1
open Tomo's
【開催日時】
12/4(土) ①午前の部 10:00~12:00、②午後の部 13:00~15:00

【会場】
神戸市中央区江戸町100番地 神戸旧居留地高砂ビル1F 集合

【内容】
アーティスト杉山知子さんのアトリエにご招待します。杉山知子×NDP(Nissha Digital Printing)で制作された作品「BigBook『Towns』」を、作者である杉山さんの解説とともに鑑賞します。
*参加者にはお土産として、日本写真印刷コミュニケーション株式会社のfabrightファブリックを使用した「Towns」柄のトートバッグをプレゼント!
*参加人数の制限やマスク着用をはじめ、新型コロナ対策を講じた上で実施します。

【参加費】
無料(会場までの交通費はご負担ください)

【応募資格】
小学1年生〜高校3年生までの方。

【定員】
各回3名
*保護者の方の同伴をお願いいたします。なお、体験中は別室で待機していただく予定です。

参加希望の方は【ハンケイ京都新聞 Touch the ART!(for children)担当(mail=tta-fc@mb.kyoto-np.co.jp】宛てに、件名を「12/4Touch the ART! 参加希望」として、本文に【住所・名前・年齢・生年月日】をご記入の上、メールをお送りください。

【応募締め切り】
2021年11月15日18:00まで。 ※受付を終了しました。
※厳正なる抽選の上、参加当選者の方にのみご連絡させていただきます。

主催:日本写真印刷コミュニケーションズ株式会社
助成:一般財団法人ニッシャ印刷文化振興財団