ファッショナブルな生き方

「失敗してもいい。失敗さえも楽しむことで、思いもしなかった結果が生まれるから」

「自分らしく」ファッショナブルなあの人は、いつだって美しい季節の中を生きている。

世界でひとつだけのストーリーを紡ぐように、さまざまな布をつなぎ合わせた作品を生み出す。テキスタイル作家、梅田香織さんも、そんなひとり。自らの感性を磨くことを楽しみ、アートの可能性を広げ続けている。

■協働で見つけた、新たな可能性

兵庫県神戸市にある「アートセンター叶」は、アートの要素を取り入れながら、障害がある人の就労支援を行なっている。テキスタイル作家の梅田さんは、オリジナルブランドの商品企画から制作をサポート、商品展開からインターネットでの販売までのプロセスに携わる。

障害を持つ仲間とともに活動する中で「改めて、アートが秘める可能性を見つけた」という。新しい可能性を探究する梅田さんの好奇心は、センターで制作している作品にも表れている。

例えば、最近人気があるのはフェルト地のおしゃれなフラットバッグ。レジ袋など暮らしの中で見るプラスチック製品を再利用し、アイロンで熱して布地に定着することでカラフルな柄を生みだす。ハンドメイドで1点ずつ仕上げるため、それぞれに表情が異なり、作り手の感性を映し出している。

「創作することにおいて、ゴールは1つではないと思います。失敗してもいい。失敗さえも楽しむことで、思いもしなかった結果が生まれるから」

■未知との邂逅

10代の頃から、芸術やカルチャーが好きだったという梅田さん。高校生の時には美術部に所属し、美術の成績は常に満点。その一方で、澁澤龍彦や浅田彰など文学や社会思想にも興味を抱く。「図書委員長だったので、自分の好きな本を図書館に入れられたんです。マニアックな本が好きなので、貸出の履歴を見ても、自分の名前しかなかったですけどね(笑)」

好奇心を大切に、自分の感性や美的感覚を研ぎ澄ます。その中で、梅田さん自身のオリジナルな考え方や表現が形作られていった。高校卒業後は、嵯峨美術大学に進学。大学のキャンパスより、多くの刺激を受けたのは、友人の下宿だ。百万遍にあった「正体のよく分からない人たちが集まる」場所で過ごす時間が貴重だったそう。「サロンのような場所で、大学8年生とか、いろんな人がいました。『正義』や『経済』について、大真面目に議論したり。そういう時間の中で、大きな意見に流されずに、自分の中で気になる小さな引っ掛かりを拾って、眺めてみるという視座を持つようになったのかもしれませんね」。

■つながりを生む、アートのこれから

物事をじっくりと、眺める。そうして眺めているうちに、段々と「自分らしさ」が見えてくる。小さな下宿で学んだ視座は、卒業後、作家として活躍しながらも、いつも梅田さんの心の何処かにあった。

「美術は得意だったし、過去にはヨーロッパで賞も取ったけれど、自分の満足は今がいちばん得られています」。自由な発想の仲間を、梅田さんは本当に愛しく感じるのだそう。彼らのユニークな色使いや、作風を活かしながら、プロとしての自身のアドバイスを少し加える。「自分が作家としてできる、アートへの向き合い方を、ここで見つけました」。

 

仲間との活動は、梅田さんに、未来への課題も与えてくれた。「作品を作って、買ってもらって終わりじゃない。作ることから、作り手と使い手がつながり、社会がつながっていく。そういうことが、世の中で大切になってくる気がします」。

お互いの違いを、楽しみながら作り上げる作品。それはまた、作り手と使い手がつながるきっかけにもなる。みんなが「自分らしく」輝く、新しい世界を、梅田さんは思い描いている。

梅田さんが携わっている「アートセンター叶」から生まれた商品企画開発プロダクション「Petiit Pinceau(プチ パンソー)」について詳しくは→https://yumenohako.shopselect.net/

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