〈縁の下の力もち〉

葵祭(あおいまつり)に欠かせないフタバアオイと、伝統を思う心を育くむ「葵プロジェクト」

■高瀬川 薫子(たかせがわ・かおるこ)さん

上賀茂神社に事務局を置く一般財団法人葵プロジェクト講師・理事。京都の上賀茂神社近くで生まれ育つ。もともと古き良きものが好きで、ニュースで葵プロジェクトが発足することを知り、参加した。いざ関わってみると、父が自宅でフタバアオイを育てて神社に納めていたことを思い出し、深い縁を感じたという。苗の育成や祭の飾りづくりなどの講師、広報担当として活動する。

京都三大祭のひとつ、葵祭が行われる5月がやってきた。古来、祭りは自然や神への畏怖と感謝の表れだ。葵祭の起源もまた、約1400 年前に風雨が続いたときに賀茂の神に捧げた五穀豊穣の祈りだった。

葵祭の「葵」は「あふひ」と書き、神様に逢う=「あふ」という意味がある。葵祭を例祭とする上賀茂神社・下鴨神社の神紋もこのフタバアオイの葉であり、葵祭に欠かせない存在だ。

葵祭の本番前、みんなが各所で育てたフタバアオイをカツラの葉とともに飾りに組む「アオイカツラの奉製(ほうせい)」。葵祭の名も、祭の装束や乗り物にフタバアオイの飾りをつけることに由来する。

かつては神社周囲の山などで採れたが、近年は環境の変化で数が減ってきた。そのため葵祭に使うフタバアオイを京都内外の学校や会社、個人で育てて神社に納める「葵プロジェクト」が2010年に立ち上がった。最終的にはフタバアオイが自生する、いにしえの森の復活を目指す。

「葵祭には、約1万6000本のフタバアオイが必要です。いま、協力者の皆さんがフタバアオイを別々の場所で育て、祭に間に合うように増やして送り返してくれています」と話すのは、葵プロジェクト理事の高瀬川薫子さん。フタバアオイを自ら育てることで、遠くの存在だった京都伝統の葵祭が、ぐっと身近なものになり、葵祭や日本の伝統文化への理解と思いが深まる。また、そうして育まれた伝統を思う心は、祭に欠かせない装束や道具など周辺の伝統産業の技術を未来へ継承する力となっている。

「葵プロジェクト」はフタバアオイと伝統を思う心を育むことで、葵祭や日本の伝統を支える縁の下の力もちだ。

静岡から来た修学旅行の生徒らが、中学で育てたフタバアオイを、自らの手で上賀茂神社の敷地に植える。「遠く離れていても、一つの目的に向かって人と人がつながることに魅力を感じます」と高瀬川さん。

(2021年5月14日発行ハンケイ500m vol.61掲載)

<共同編集長コラム>

新緑の京都を、平安装束の行列が進む「葵祭」。京都御所から下鴨神社、そして上賀茂神社へと、青葉が美しい加茂街道を進む様子は「京都三大祭」の中でもとりわけ典雅な雰囲気にあふれています。華やかな十二単衣に身を包んだ斎王代をはじめ、参加する方々は皆、結い上げた髪や烏帽子などにフタバアオイとカツラの葉でできた「アオイカツラ」を着け、葵祭に臨みます。新型コロナの影響で、今年も5月15日の「路頭の儀」(行列巡行)は中止となりましたが、「葵」は「あふひ」。再び会うことが叶う日を信じて、高瀬川さんたちの祈りは続きます。(龍太郎)

私も力もちです!

葵祭に使うフタバアオイを育てることで京都の伝統を支える葵プロジェクトと同様に、三洋化成は機能性化学品を通じて、暮らしや産業のさまざまな分野を支えています。

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