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新しい豊かさは、家庭の食卓から。 伝統調味料「煎り酒」×京湯葉×京漆器。ステイホームで味わいたい、 京都の3つの老舗が培う歴史と伝統のエッセンス。

長引く新型コロナウイルスの影響は、現代人のライフスタイルに大きな変化を起こしている。家庭での食事の機会が増えた今こそ、改めて暮らしと食文化について思いを巡らせたい。京都の老舗酒蔵「山本本家」(京都市伏見区)が手掛ける伝統調味料「煎り酒」は、古くて新しい食文化の扉を開ける、鍵のような存在だ。「山本本家」の山本晃嗣さん、京湯葉「千丸屋」の越智忠弘さん、京漆器「象彦」の西村和香さん。食にまつわる京都の3老舗が語り合う、家庭の食卓から始まる「新しい豊かさ」とはー。


―伝統調味料「煎り酒」は、もともと室町時代を発祥とする日本酒をベースとした調味料と聞きました。なぜ今、その「煎り酒」を復活させたのですか?

山本本家 山本晃嗣さん

山本:室町時代の人々に広く親しまれていた煎り酒は、日本酒を煮詰め、梅干しや昆布、かつお節などを合わせて作ります。旨味が濃く、素材の持ち味を存分に引き出せるのが特徴です。しかし醤油が登場して以降、保存が効かないことから敬遠され姿を消しました。
新型コロナが長引く中で、以前から知り合いだった京湯葉の老舗千丸屋の越智くんと「こんな状況だからこそ、お互いの伝統を踏まえつつ、何か新しいことができないだろうか」と話しているなかで、今では幻となった「煎り酒」の復活を思いついたのです。

千丸屋 越智忠弘さん

越智:生湯葉のイメージが強い京湯葉ですが、古来より人々が常用してきたのは、実は乾燥湯葉です。湯葉は素材となる大豆の味がストレートに出る食材。室町時代の味を現代に蘇らせる山本本家の「煎り酒」と組み合わせれば、互いの持ち味を生かしきれるのでは、と考えました。実際に乾燥湯葉に煎り酒を付けて食べてみて、驚きました。醤油や塩で食べた時とは全く異なる湯葉の味が引き出されていた。ドレッシングに近いけれど、素材の味を十二分に生かし切っている、新しい感覚でした。

―まさに「古くて新しい」という言葉がピッタリですね。食材が秘めている新たな面を引き出す「煎り酒」があれば、食の可能性が広がりそうです。

山本:もともと京都の日本酒は、繊細な味わいの料理を引き立てるお酒です。その秘密は、使っている水が柔らかいから。「煎り酒」は、京都の水で仕込んだ大吟醸を使い、梅や昆布、鰹の旨味が合わさっています。だから、すっきりとした味わいの中に奥深い旨味が広がる。実は意外な料理とも相性が良いんですよ。先日、我が家で焼き餃子に「煎り酒」をかけて食べてみて、びっくり! 後味がさっぱりして、とてもおいしかったんです。従来の枠にとらわれない、新しい味わい方を発見しました。

越智:新しい味の発見は、興味をそそられます。まずは湯葉で「煎り酒」を味わってもらうことで、素材本来の美味しさ、本質的な味を実感していただけると思います。うちの店は御食事処も設けていて湯葉鍋をお出ししていますが、そこでも煎り酒で湯葉を召し上がっていただけます。味の変化、違いを感じていただき、お客様の中でイメージを膨らませてもらえれば、湯葉や「煎り酒」の新しい味の楽しみ方、新たな料理の可能性が見つかるんじゃないかな、と思います。

―新型コロナの影響でステイホームが広がる中、家庭の食事が占める位置づけが、これまでになく大きくなっています。「煎り酒」をきっかけとして、京湯葉を京漆器でいただくことで、伝統を大切にする京都の食文化や暮らしを考える機会にもなりそうです。

象彦 西村和香さん

西村:一見、繊細そうに思える漆器ですが、実は軽くて強く、実用的な器です。食洗機こそ使えませんが、普通の中性洗剤で洗えますから、特別手がかかるものではないんです。普段使いすることで適度な湿気が保たれ、使う方それぞれの器に育っていきます。
今回は湯葉が映えるよう、白檀塗りの片身替の漆器に盛り付けてみました。金箔の上に褐色の溜漆を重ねる白檀塗りは、京漆器の伝統の技法を用いながら、現代のテーブルにもマッチします。私も子どもが生まれて毎日料理をするようになり、口に触れる触感や、木の器ならではの保温性など、改めて漆器の良さを実感する場面が多いです。子育てに仕事にと忙しい毎日でも、お気に入りの器に料理を盛り付けると、それだけで気分が上がります。

越智:私も家で、食事の器に漆器を使っていますよ。漆器の良さは、実物を手に取り、使ってみて初めて実感できます。持った時の軽やかさ、柔らかな口当たりを知ると「ああ、いいなあ」としみじみ感じます。写真で見ただけでは分からない本当の良さが、使うことでわかってくる。「煎り酒」と湯葉という組み合わせだから伝えられる、京都の伝統から生まれた「新しい豊かさ」の味わいも、実際に召し上がっていただくことで、きっと実感していただけると思います。

山本:漆器が本来、普段使いの器であるように、「煎り酒」も万能調味料として、ぜひ、ご家庭での料理に色々と使っていただきたいです。毎日の暮らしの中で使い込むことで、漆器であれば、その色合いの変化が楽しめる。「煎り酒」であれば、和食の良さに改めて気づき、さらに新しい料理のアレンジへと広がっていくと思います。「京都の老舗」と聞くと敷居が高いものと見られがちですが、もっと気軽に、京都の伝統に培われた暮らしの楽しさを、多くのみなさまに知っていただければ嬉しいです。

越智:外出自粛要請など、新型コロナで制限されることは確かにありますが、だからこそ、どうやって前を向いて生きていくかが大切だと思っています。その意味で、毎日の食事は、明日の幸せにつながるとても大切な要素です。家庭で頂く食事を豊かな時間にできれば、日々の暮らしも豊かになる。私自身もコロナによるステイホームで、家族で食卓を囲む時間の豊かさ、大切さに改めて気付かされました。食文化とは本来、料理屋さんだけのものではなく、家庭の料理こそ、食文化の広い裾野を支える存在です。家庭での食事を通して、暮らしの中の「新しい豊かさ」を育てる時間を持っていただければ素敵ですね。

「水がやわらかい伏見の酒は、繊細な料理こそ引き立てる。煎り酒も同じです」
山本本家 山本晃嗣さん
同志社大卒。1677(延宝5)年創業の「山本本家」取締役。ワインメーカーを経て、2005年に家業に入る。山本本家は名水「白菊水」を仕込み水とした銘酒「神聖」や「松の翠」で知られる老舗酒蔵。
■京都市伏見区上油掛町36-1
■TEL:0756110211

「時間にゆとりのある今だから、ひと手間かけた楽しみを。食事は明日の幸せの素です」
千丸屋 越智忠弘さん
同志社大卒。1804(文化元)年創業の京湯葉の老舗「千丸屋」の八代目。乾燥湯葉を出汁で頂く「湯葉鍋」が味わえる食事処を2017年にオープン。新たな挑戦で京湯葉の伝統を次代に伝える。
■京都市中京区堺町通四条上ル
■TEL:0120811008 御食事処0752210555
■水曜定休

「京漆器の伝統を、現代のテーブルにマッチさせて。使うことで器が育ちます」
象彦 西村和香さん
京都ノートルダム女子大卒。1661(寛文元)年創業の京漆器の老舗「象彦」取締役。学芸員資格を持ち、葵祭の斎王代も経験するなど京都の文化に精通。一児の母として奮闘中。
■京都市中京区寺町通二条上ル西側要法寺前町719-1
■TEL:0752296625

【煎り酒】

室町次代末期に考案された万能調味料。煮詰めた日本酒と梅干しや昆布、鰹節などを合わせて作られている。出汁の風味や梅の酸味が合わさった上品な旨味が、素材の持ち味を引き出します。195ml/918円(税込)

sponsored by 山本本家