〈Ki-Yan 今日的琳派〉

蓮 -LOTUS-

2004年に青蓮院(京都市東山区)で「にっぽんと遊ぼう」というイベントが開かれた。京都を舞台に「もてなし、しつらえ、ふるまい」による日本の美意識を楽しむ、という催しだ。
そのイベントのプロデュースをする私が、ポスターを制作することになる。青蓮院をただストレートに表現した青い蓮を描いた。

生命讃歌(青蓮院華頂殿)

当時の若い執事から「門主の東伏見慈晃さんがポスターの青い蓮に興味を示した」と告げられた。以前に青蓮院の華頂殿をたずねた時、60枚ほどの何も描かれていない白い襖があったことを思い出す。若い執事の言葉にのっかかり、その襖に描かせてほしいと願うのである。早速、枯れ蓮、生命讃歌、極楽浄土の三部構想を提案する。

生命讃歌(青蓮院華頂殿)
極楽浄土(青蓮院華頂殿)

ところが、阿弥陀経には「枯れる」という世界がないので枯れ蓮はとり止め、代わりに「青い幻想」をイメージに淡い青い蓮を描くことになる。

青い幻想(青蓮院華頂殿)

この枯れ蓮は後に、意外な場所で花開くことになる。かねてより、故樹木希林さんが、自宅の板戸に何か絵が欲しいと思っていた。それならと、「枯れ蓮・Lotus revives(ロータス・リバイブ)」を希林さんの自宅に描くことになった。

枯れ蓮・Lotus revives(ロータス・リバイブ)=東京・内田邸

タイトルの「リバイブ(蘇る)」は、希林さんの娘の内田也哉子さんが付けてくれた。こうして枯れ蓮は板戸絵として蘇り、ここに蓮4部作がようやく揃うこととなった。
(文/木村英輝、写真協力/FLYING HIDEKI PROJECT)

京都の街に極彩色の壁画を描き続けるロックな壁画絵師・キーヤンこと木村英輝さん。「本物しか描かない」を信条に数々の動植物をモチーフとした壁画を手掛けるキーヤンが、アートに込める思いを語ります。

Ki-Yan 木村英輝

1942年大阪府生まれ。京都市立美術大学図案科卒業後、同大講師を務める。
日本のロック黎明期にオルガナイザーとして数々の伝説的イベントをプロデュース。
還暦より絵師に。「究極のアマチュアリズム」を標榜し、京都を拠点に活動し、手がけた壁画は国内外で200カ所を超える。
作品集に『生きる儘』『無我夢中』『LIVE』など。

▽木村英輝キーヤン オフィシャルサイト⇒https://ki-yan.com/