〈祇園祭を支える職人の技〉

【船鉾】前祭の山鉾巡行の最後尾、「見送り」にあふれる気品

豪華絢爛な懸装品に飾られ、山鉾巡行(前祭)では最後尾を務める船鉾。2017年に天水引、19年は艫櫓(ともやぐら)の下水引を復元新調し、真新しい刺繍が鉾を彩る。麒麟や鳳凰の刺繍は内側に和紙や綿を重ねて立体的に表現した。目の部分にはガラス玉が嵌め込まれ、羽の一本一本に至るまで細やかに仕上げられた刺繍と相まって、今にも飛び立ちそうな躍動感に満ちている。

立体感のある鳳凰の刺繍。目にはガラス玉がはめ込まれ、一層の生命力を感じさせる

刺繍を手掛けた樹田紅陽さんは「江戸時代の職人の仕事に敬服する。工芸的なテクスチャーに留まらない、新しくも過去に通じる『品』を大切にしました」と語る。山鉾の後ろを飾る幕を「見送(みおくり)」と呼ぶが、船鉾の最後部にあたる艫櫓(ともやぐら)の水引は、まさに山鉾巡行(前祭)の最後を飾る「見送」としての気品にあふれている。

【動画で楽しむ祇園祭】(京都新聞動画ライブラリ)
▽祇園祭 前祭の山鉾巡行(2019年7月17日)

<わたしたちは祇園祭を応援しています>