〈祇園祭を支える職人の技〉

【長刀鉾】常に先頭を行く「くじ取らず」、裏方として支える稚児係

常に先頭を行く「くじ取らず」の長刀鉾。前祭巡行では、稚児が2人の禿(かむろ)を従えて鉾に乗る。例年713日に行われる「長刀鉾稚児社参」で、八坂神社から神の使いとしての位を授かる。以降、稚児は強力(ごうりき)が担ぎ上げるか、馬に乗って移動し、地面を歩くことはない。

717日の前祭巡行では四条通を行く長刀鉾の上で、町名が変わるごとに稚児が「太平の舞」を披露する。その後、四条麩屋町で「注連縄(しめなわ)切り」に臨む。神域との結界である注連縄が、稚児の手にする太刀で切り落とされると、晴れて23基の山鉾が賑やかな祇園囃子を響かせて進む。その後、稚児は巡行の無事終了を奉告するため八坂神社を参拝する。

稚児係の井尻浩行さんは「本殿での儀式を終えて境内に出ると、それまで耳に響いていた囃子の音が消えて、参拝の人たちのざわめきが聞こえる。日常に戻った、と安堵して、自然に涙が溢れます」と話す。祇園祭を裏方として支える人たち。知られざる物語を心に秘めて、京都の伝統をつないでいる。

前祭の山鉾巡行で河原町通を進む長刀鉾(2019年7月17日撮影)
【動画で楽しむ祇園祭】(京都新聞動画ライブラリ)
▽祇園祭・長刀鉾稚児「結納の儀」(2019年6月15日)


▽祇園祭 長刀鉾「お千度の儀」(2019年7月1日)


▽祇園祭・長刀鉾稚児「社参の儀」(2019年7月13日)


▽祇園祭 前祭の山鉾巡行(2019年7月17日)