〈縁の下の力もち〉

美しき緑の絨毯(じゅうたん)。京都で唯一、苔を生産。

■竹村勲(たけむら・いさお)さん
竹村造園資材の六代目当主。桂高校から京都造形芸術短大の造園コースを経て家業を継いだ。一級造園技能士、一級造園施工管理技士、土木施工管理技士。

京都の庭を飾る美しい苔が田んぼで生産されていることを知る人は少ない。その苔栽培をするのは、竹村造園資材(右京区鳴滝)六代目の竹村勲さん。苔づくりは40年前、お父様の代から。以前は山地から採取していたが、世界遺産など庭園の多い京都のニーズに応えきれず、栽培に踏み切った。「京都で生産しているのは、うちだけ」。名だたる寺院や桂離宮の苔も竹村さんの手によるものだ。

苔の田んぼは京北地域にあり、地元の土は京都の寺院と同じ粘土質で保水力のある赤土。主に育てる苔は日本庭園に多いスギゴケ、盆栽用のシラガゴケ、日光に強いスナゴケ、日陰に強いシノブゴケの4種。雑草や落葉をまめに取り除くなど手間暇を惜しまず、試行錯誤で苔づくりをしてきた。

スギゴケ(左)とシノブゴケ

苔は本来、霧深い山中に育ち、水分は根からより、空気中から多く吸う。だから木陰や木漏れ日、湿度の高い樹木の下などを好む。大木の露出した根の周囲では土の水分の蒸散を防ぎ、根の保水を陰で支えている。大切に育てられた竹村さんの苔は、造園家に納められ庭づくりの素材となる。目立たないが京都の苔需要を一手に支えている。苔も竹村さんもまさに縁の下の力持ちだ。

竹村さんは「苔を納める先は造園業者ですが、造園される環境に合う苔を提案するため現地を見たり話を聞きに出かけることもあります」と話す。

時代や環境に合わせ、苔のニーズも様々に変わる。現在の人気は、ビル屋上緑化に伴い日光に強い苔。先代から地道に積み上げた苔生育のノウハウが生かされる時だ。

(2017年7月10日発行ハンケイ500m vol.38掲載)

<共同編集長コラム>

数年前。ビデオカメラと三脚を担ぎ、単身で京都の寺社を撮影取材して回っていました。梅雨時の禅寺で見た、雨音まで吸い込むような深い緑色。初秋の山寺で、微笑む石仏の周りに広がる黄緑色と木漏れ日の輝き。京都で唯一という竹村勲さんの手がける苔が、あの時カメラの向こうに広がっていた景色を作り上げていたのかも。京都の歴史と伝統を、陰で支える「緑の絨毯」。手間暇を惜しまず、時代と調和しながら挑戦を続ける竹村さんのような職人たちの精神が、京都の文化の根っこを守り続けています。(龍太郎)

私も力もちです!

世界遺産の多い京都の美しい庭園の苔づくりを陰で一手に引き受ける竹村さんと同様、三洋化成も、暮らしや産業の様々な分野を支えています。

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