縁の下の力もち

「京都人より京都人らしく」。伝統のコミュニケーションを愛する大学教授。

■ジェフ・バーグランドさん
1949年生まれ。米国出身。京都外国語大学 国際貢献学部教授 グローバル観光学科長。20歳のとき同志社大学に留学。その後米国で大学を卒業したのち、京都で教職に就く。以来、京阪神の大学で教鞭をとる傍ら、京都・木屋町の鴨川沿いの町家に住み、自宅でも英語を教えつつ、テレビ、ラジオ等でも活躍している。
▽ジェフのイングリッシュ・スクールHP⇒http://www.jeff.sakura.ne.jp/howdy.html

世界遺産や観光名所など、わかりやすい伝統文化に感動して京都の素晴らしさを発信する外国人は多い。しかし米国人ジェフ・バーグランドさんは、1969年の来日当時の、瓦屋根が並ぶ京都の街並や、狭い路地に店を張り出して人と人が触れ合いながら商いする京都人の暮らしに惚れ込み、以来ずっと京都に暮らす。

築160年の京町家の自宅にあるジェフのイングリッシュ・スクール。幼児から学生、一般人まで、英語だけでなく日米の文化の違いが学べる。

「欧米人がはっきりモノを言うのに対して、京都人が曖昧な表現を大切にするところに惚れました」と話すジェフさん。「ピアノ上手にならはったなぁ」と褒められたら、「うるさくして申し訳ありません」とまず謝るのが京都風。今はこうした遠回し表現は「いけず」と批判されがちだが、ジェフさんはその文化を評価する。

「京都は受信者責任型文化。受け手の側が相手の真意を汲み取る必要があります。これは京都の人が狭い町の中で工夫して生み出してきた、受け手の感受性を育む文化です。自然もモノを言わないけど、人はそこから汲み取るでしょう? そこがいいんです」

「受け手の側が相手の真意を汲み取る。京都人の価値観はすてきです」。レギュラーのテレビ出演として、「JEFF@KYOTO おもてなし京都観光」(KBS京都毎週月曜日22:25~22:30)では、坂本龍馬に扮した着物姿で京都の文化について英語で紹介する。

今や京都人より京都人らしいジェフさん。流暢な関西弁の大学教授として、あるいはテレビタレントとして、昔ながらの京都のよさを発信しつつ、老舗旅館の趣きそのままの自宅で英語や文化の違いを教える。

華やかに活動するジェフさんは、京都人自身が気づかない京都の長所を発見、海外へも発信することで、古き良き京都文化を陰ながら守り支える貴重な立役者でもあるのだ。

(2018年11月12日発行ハンケイ500m vol.46掲載)

<共同編集長コラム>

「京都は受信者責任型文化」。ジェフ・バーグランドさんの言葉に、はっとしました。昨今の「京都ブーム」とでもいうべき人気を受け、京都を語る書籍やコンテンツが世にあふれています。その中で、受け手の感受性を育むような京都の情報を、わたしたちメディアはどれほど発信できているでしょうか。饒舌さは時に、その本質を見誤らせることがあります。「京都らしさ」とは、何だろうか。ハンケイ京都新聞がテーマとする問いを考える大切なヒントを、まさに「京都人より京都人らしい」ジェフさんに教わりました。(龍太郎)

私も力もちです!

ジェフさんは三洋化成のWEBサイト上『京を歩けば』(No.511~519号)でも執筆中。ぜひご覧ください!URL⇒https://www.sanyo-chemical.co.jp/magazine/archives/category/kyoto/kyoto01

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